第206回 ミラーレス時代へですが
世の中はフルサイズミラーレス時代へ向かっていますが、レンジファインダーカメラのお話です。
距離計連動カメラ
人間の両目で距離感を掴むのは、目の前に指を立てて左右交互に目をつぶってみると指がずれて見えます。これを視差と言います。この視差を脳が判断して立体感や奥行き感を得る一部として利用しています。この仕組みを光学系を使って二つの像を重ねて、ぴったり重なるとレンズのピントがそこに合うようなカラクリを仕込んだのが距離計連動カメラです。
レンジファインダーカメラとも言います。
三角測量
右目、左目、指で三角形ができます。この右目と左目の角度の差をギアやカムを使って変えることで像の重なり具合を変えます。この角度の変化をレンズの繰り出し量と連動させることでピントと左右の像のずれを関係付けています。
ピント精度と基線長
目の間隔を基線長と言います。基線長が短いと同じ距離だとズレが小さく、基線長が長いとズレが大きくなります。
少しの距離の違いが大きな角度差、像のズレの大きさになるので精密なピント合わせが出来ますがカメラは大きくなり、近くのピントは合わせにくくなります。
なので基線長は数十ミリ、近くのピントが合わせられるのは1mぐらいです。
像の重ね方
市販されているカメラでは左の素通し像に右の視野中心の像を半分光を通すハーフミラーやプリズムを使って重ねるカメラがほとんどです。
ぼんやりとした輪郭で右の像が浮かぶのを虚像式、くっきり輪郭で浮かんで輪郭のズレもしっかりわかるのが実像式です。
ぜひ中古カメラ屋さんで覗かせてもらってください。なかなかからくり仕掛け面白いです。