第40回 雨の綺麗な映画
今回はあるアニメーション作家の作品から。
背景美術の美しさ
どこまでも伸びる雲、しっとりとした田舎道、溢れる光、緻密な描写。ネット動画の黎明期に1人のアニメーション作家が現れました。
『ほしのこえ』ではにわか雨のバス停から遥かな宇宙まで景色が広がりました。
コンピューターを用いた作画で少人数で作品を作り上げる。新海誠さんというアニメーション作家です。
写真から起こされた記憶の景色
渋谷の劇場で見た映像に驚くとともに、その後の作品で公開されたメイキングを見るとロケ画像の輪郭をトレースして印象的な光やテクスチャをのせていました。
いつか見た何処かの風景。
ネット画像から企業CM、劇場まで作品は広がっていきます。
雨のち晴れ
特に雨の描写にこだわりを感じるのが『言の葉の庭』です。
新宿御苑をモデルにした公園で出会う様々な雨の表情の中、季節が移ろっていきます。
しとしと雨、激しい雨風、温かな雨、雪。
交差した2人の人生はどうなっていったのでしょうか。
BGMとともに
また、雨音に重なる音楽が雰囲気を醸し出します。
トタン屋根にあたる音、ビニル傘の音、街路樹の葉の音、濡れたアスファルトの音。
梅雨入りして雨の日が多い昨今、雨粒が跳ねる傘を見ながらRain(秦基博、オリジナルは大江千里)を聴いてみるのもいいかもしれません。
良ければ雨も楽しめますように。