第61回 良心、自由意志、魂

今回は早逝した作家 伊藤計劃氏の長編二冊と未完長編を円城塔氏が書き継いだ作品について。

テロリズムに対する切っ先

そこに良心は有るのか、徐々に明かされる良心の欺瞞。『虐殺器官』ではテクノロジーが今より少し進んだ未来の特殊部隊の隊員が見る任務と良心の物語です。
あとは、読んでみて欲しいのですが良心が暴力となり行き過ぎた手段になった先の世界が次の第2長編につながります。

調和の世界

『ハーモニー』の世界は強制的に平和を実現させるために調和を求めた世界が少女たちを通して語られます。
世界観を構築する名前やテクノロジーを感じさせる文面に戸惑いながら読み進めるその先の選択とは。

上記2作はこれから映画として公開されますのでそちらからという選択もあります。そして、すでに映画も公開済みの第3長編です。

魂は21グラム

円城塔氏が書き継いだ第3長編の『屍者の帝国』はシャーロック・ホームズが活躍したとされる時代、ビクトリア王朝のロンドンで屍者という技術が実用化されたらという小説です。

病床の伊藤計劃氏が魂や屍者についてどのような考察をしたのかは書き残された冒頭部分を読むしかありません。
死してなお作品として残ることが屍者と重なるようにも思え、その使役について思うことがあります。

重い話題の3作ですが、秋の夜長の読書、あるいは映画で見てみてはいかがでしょうか。