第28回 囁くシャッター

第28回はカメラのシャッター音について。

撮っているという実感

30代より上の世代で写真を撮っている人達はフィルムの一眼レフカメラを使っていたかもしれません。光を撮影レンズを通してファインダーに導くことで見たままに近い構図で写真を撮れるカメラでした。 バシャンっていう音とファインダーが暗転する。一コマごとにフィルムを巻き上げるというのは一コマ一コマ写真を撮っている実感にあふれていました。 中判という大きめのフィルムを使う一眼レフカメラはガッシャンと派手な音がしたものでした。ただその音ゆえに演奏会などでは使えませんでした。

コンパクトカメラの囁き

当時からコンパクトカメラのシャッターはレンズシャッターというものが多く使われていて音が小さいものでした。 一眼レフと違って素通しのファインダーで暗転もしません。 手動巻き上げの機種は静かなものでした。 今ではレンズ付きフィルムやチェキでの撮影に近いかもしれません。 ただレンズ交換はできずズームコンパクトは電動ズームで音がするものが多くこれも舞台写真には限定的な使い方しかできませんでした。

レンジファインダーの布幕シャッター音

コンパクトカメラよりは大きくてレンズ交換できるカメラもありました。 素通しのファインダーに距離合わせのためのレンジファインダーカメラです。コトンといったシャッター音でコンパクトカメラのシャッター音よりは大きなものでした。 それでも小さなシャッター音のカメラとして舞台写真家やスナップ写真家には長く愛用されていました。 百数十万円しますが今でも新品が買えます。

一眼レフのミラー音

一眼レフは撮影時は小さな鏡がパシャんと跳ね上がりシャッターが開くことによりフィルムを感光させていました。 ミラーは戻りシャッターをチャージしながらフィルムを巻き上げて次の駒を撮影する準備がされます。 デジタル一眼レフはフィルムを撮像素子に巻き上げはシャッターとミラーのチャージだけになりました。 もう少し静かになるかと思いましたが撮ってることが被写体伝わったりフィルム時代の感覚を再現したりとなかなか静穏化はしませんでした。

ミラーレスのシャッター音

一眼レフカメラのミラーの代わりに撮像素子の映像を背面モニターや電子ビューファインダーに表示するミラーレスのカメラも国内で4割を占めると言われています。 一眼レフカメラからミラーを取り去った形で小型化と静穏化に期待しましたが初期モデルはシャターの振動が気になる機種もありました。 小型軽量の分音を内部で閉じ込めるのも難しかったようです。

静音シャッターに注目

最近振動で微妙にぶれることや子供の発表会を撮るなどでサイレントモードが増えてきました。 動くところのない電子式のシャッターや遮光の一部だけを機械式のシャッターで行う。ミラーをゆっくり動かすなど各社工夫をしています。 全く無音のカメラも出来てきました。 モデルさんにはいつ撮られているかわかりにくいと評判は今ひとつのようですが。

舞台を邪魔せず囁くように

和太鼓や舞踊など伝統芸能の舞台などを撮影する機会も得て、この静かなシャッター音を求める15年でした。 被写体のパフォーマンスを妨げず観客の気持ちは被写体からそらさない。そんな思いで撮影してきました。

シャッター音へのこだわりは続きそうです。