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第9回 山に還っていく

第9回は郊外の住宅地についてです。

造成地に住む
バブルの頃、郊外の住宅地がベッドタウンとして造成されました。
ピカピカの白いお家。溢れる子供達。
岩盤まで切り開いた台地には数万年ぶりのお日様の光と、さらりとした風が運ばれてきました。

荒涼に人工の庭
削られた岩盤に住宅のコンクリート基礎を乗せ、地層の上に十数センチに満たない土を盛る。造園されて揃った人工の庭。盛り土がないところは岩盤のレキの表層でした。乾燥してて無味ですが、カビも生えにくく岩盤が吸湿しているのか風もさわやか砂漠風でした。

山伸びる
山の木々が伸び年々落ち葉が積もれば土も出来てきます。下草が生えてコンクリートも苔むしてくる。宅地と山の境界がぼやけてきました。夜な夜な木の葉の擦れる音。山向こうの視界も狭くなっていきます。季節を重ねさらに落ち葉が積もります。

野生との接近
森が濃くなれば野生動物も帰ってきます。また、人の側も一斉に転居してきたため同じように老いていきます。
小鳥が庭にきます。蛇が出ます。ヤモリさんこんばんは。キジが飛んできます。猿の群れが家庭菜園を荒らす頃、山に飲まれていく薄墨色の集落が見えてきます。

湿度のある土地へ
こうなると空き家になれば山に飲まれる準備ができてしまいます。湿気って柱もはりも腐りやすくなります。
住人は迫り来る森との境界を守る守り人です。

バブルの時代にできた郊外の住宅地。2050年の人口減少社会にはマチュピチュアンコールワットのように埋もれていくのかもしれませんね。

森へ還っていく。