第145回 アナログ
今回は久しぶりに中判カメラを使ってみたのでそのお話です。
ワンショット250円
大体のお値段ですがフィルム、現像、データ取り込みのフローでこのお値段でした。現像とデータ取り込みで2時間ほどの都内でも珍しいブローニーネガ自家現像のお店でした。一般のカメラ量販店だと値段高めでさらに週単位になることを考えると是非続けて欲しいお店です。
デジタル中判だと
ボディーで50万レンズで10万(中古)ぐらいかけたとして機材差額50万ぐらいですので2000ショット。フィルム200本使うと元が取れる計算になります。膨大なデータを保存する手間を考えてもアート目的以外ではデジタルになるのもわかります。
LPを聴くように
ですから、データ化しても残るフィルムっぽい表現に価値を感じられるか、ネガやポジの実体の手触りを感じるかといった価値を評価できるかということになりそうです。この辺りはアナログレコードの復権の流れとも繋がりそうです。
6×7判や6×4.5判までは過去に使っていた(当時は現像も安くて早かった)復刻ですが、未経験のシートフィルムまで行くのかどうか。懐かし一眼から始まったアナログの道はどこに歩んで行こうか。週末撮影が楽しみです。
第144回 試作
今回は先日お聞きした講演会から試作についてです。
量産しないエンジニア
会社生活そこそこ長いのですが量産品の開発に関わったことがありません。学生時代も試作品。試作品で論文、試作品で特許。
先日お聞きしたのは何百万台も量産されるカメラのお話でした。
どうしてもスマートに解決できない
試作段階で解消したけど、スマートな解決法ではなかった時、製品に問題がなければリリースする決断も必要だなと思いました。それから20年のロングセラー。今でも、快調に写真が撮れています。
要望に応える
試作からお客さんに回ることもある。このタイプはありましたね。評価結果は好意的でした。諸々の事情で世の中には出なかったのですが、というものもたくさんありそうで興味深いお話でした。
シミュレーションだけでなく試作のワクワクがあります。しかし、コストを考えると今の時代は難しい。
紙モックで思いを馳せます。
第143回 ロングセラーの価値
今回は10年越えて売られたカメラについてです。
20年
ニコンF3は1980年から2000年まで製造が続いたロングセラーでした。
今でも中古が手に入り去年まではメーカー修理も出来ていました。
商品のライフとして35年と少し使い続けられたというのはすごいですね。
12年
その後継機F6がグッドデザイン賞ロングライフデザインを受賞しました。メーカー修理もまだいつまでと期限は切られていないようです。
その他の銀塩一眼レフは2019や2020まで修理を継続予定のようです。頑張って欲しいです。
マウントが10年
フォーサーズは2003年から10年でマイクロフォーサーズに統合になりました。
ミラーレス技術の進歩を加速したマイクロフォーサーズは後どのくらい頑張れるのでしょうか。
ここにきて増えてしまった銀塩カメラを整理しつつあれこれ考えている夜でした。
第142回 虫食いアジサイ
今回はあまり食害のなかったアジサイも食べられてしまったお話です。
ある朝のこと
玄関先のアジサイの葉が穴だらけに。例年こんなことはありませんでした。葉の裏を見ると2センチほどの芋虫が。
剪定のしすぎで株が痛んだのでしょうか他のアジサイには波及していません。
アジサイハバチ
調べるとこの幼虫でした。特定の株に着くようです。
早速園芸用のスプレーを施しましたが翌日も影に逃れていた芋虫がむしゃむしゃ食べています。ほおっておくと丸坊主です。
もうすぐアジサイの花
花芽も見えてきたので徹底的にお箸でつまんで駆除します。新芽を食べられてなければ勝ちなのですがたまに虫食いというのが今の状態です。
綺麗に去年まで咲いていた株なのでなんとか持ち直したいと思っています。
切らぬなんとか切りすぎるなんとか…。
園芸は難しいですね。
第141回 オーバーホール
今回は第139回に続いて、かつてカメラは高級品で耐久消費財だったというお話です。
メンテナンス前提
カメラ、特に機械式のものは軸受けや歯車が多く分解清掃調整を行うオーバーホールが必要なものでした。
今でも、太平洋戦争前のドイツのカメラで写真を撮ることができひいおじいさんが「家一軒」分で買ったカメラを使うことができます。
使い捨て時代
時代が70年ほど経つ間にカメラは高級品ではありますが一家に一台、親子で二台と拡張しやがてレンズ付きフィルムで中高生が気軽に買ってプリントとネガを得られる時代がきました。
写真を得る手段はデジカメの10年、携帯スマホの10年ですっかり様変わりです。
もう一度メンテナンス
あえてそこでカメラを使うのにはカメラ自体の魅力が必要です。持つこと、見せること、撮ること、撮ることができるもの、道具としての愛着、エトセトラ。
メンテナンスしながら使い続けられる魅力。
長く使うの時間尺度
前述のドイツメーカーが高級路線のカメラでメンテナンスサポートまで売りとして組み込むのは一つの方向性でしょうか。デジタルカメラでも一部試みがありますが数年の考えです。1960年代のカメラを今使えている感覚とは数倍の開きがあります。10年、20年、30年。40年、50年!
インフラが100年近く続いた35mm フィルムのおかげでもありましたが長年付き合う愛機という幻想、オーバーホールによる継承という夢を見てしまうのです。
第140回 お題×ライトミステリー
今回は職業?と日常のちょっと不思議な謎解きを絡めた小説のお話です。
学園部活もの
米澤穂信『氷菓』のシリーズは文芸部ならぬ古典部が舞台になったシリーズで高山をモデルにした神山高校の生徒たちの謎解きが行われるミステリーで、シリーズ化、アニメ/コミックスに広がっています。
市立高校美術部他を舞台とした似鳥鶏『理由(わけ)あって冬に出る』の市立高校シリーズも続刊シリーズ化しています。
書店
大崎梢『配達あかずきん 成風堂書店事件メモ』にはじまるシリーズは元書店員の書店あるあるがポイントになっています。
古書店に広げると、
三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』はドラマ化は置いておいて近日アニメ化されるようですね。新刊書店に平積みです。
パティシエ
上田早夕里『ラ・ パティスリー』『ショコラティエの勲章』『菓子フェスの庭』などはお菓子職人の世界を題材にした小説です。
SF作家というイメージだったのですがこれらもいい作品でした。
カメラ店
中古カメラの販売、修理で最近読んで良かったのが、柊サナカ『谷中レトロカメラ店の謎日和』続刊もあります。ポイントとなるカメラの描写も的確で、店主とアルバイトの心模様も素敵でした。
ちょっと文庫片手に出かけて見てはいかがですか。
第139回 オーバーホール
今回は精密機械のオーバーホールについてです。
機械腕時計のメンテナンス
高級機の分解清掃調整、いわゆるオーバーホールの費用と期間が高く長くなっているとの話しを伺いました。海外の本社でのメンテナンスに切り替わっているらしいのです。部品のサードパーティ修理業者への提供を辞めているとの話もあります。
カメラのメンテナンス
機械式からデジカメがメインになったドイツの高級カメラもドイツ送りです。機械式のオーバーホールは国内でもしてくれますがデジタル一眼レフの普及機セットが買えてしまいます。国内の名人と言われたサードパーティの修理業者も後継者なきまま廃業や縮小をしています。
日本の会社は
大手カメラメーカーはOBが修理工房を立ち上げて10年近くが経っています。定年で始めたとして後継者育成はされていませんしいつまでとは思えます。部品の廃棄があったとか、点検清掃もファインダースクリーンなど外す必要があると受けられませんと言われます。
関係性の変化
海外のメーカーがメンテナンスまで含めて自社囲い込みをしつつも長く製品を使ってもらう業態にシフトする中、修理期間延長などをしてくれていた大手メーカーもそこでなんとか儲けようという事にはならなくなっているようです。
ユーザーもメーカーもしあわせな関係を長く続けるにはどうしたらいいのか。大量生産期を脱した製品では考えないといけないでしょう。